本日は、地元・高槻市民の方も知る人ぞ知るスポット「京都大学 阿武山観測所」をご紹介します。上の写真をご覧いただくと一目瞭然ですが、この建物は、山の高台(標高281メートルある阿武山の山頂付近)にあります。
この観測所ができたのは1930年。最近は昭和レトロな建築として知られるようになっているのですが、もともとは1927年に起きた北丹後地震(M7.3、犠牲者約3000人)後、京都大学が地震研究を進めるために設立されました。
現在は、観測所としての役割を終え(1995年に京都大学宇治キャンパスに移行)、次代を担う子どもたちの地震学の重要性を伝える施設として、また、1890年代の地震計から最新の地震計までを展示する施設として整備され、セミナーやワークショップとともに毎月2回、一般見学ツアーが開催されています。
セミナーでは、地震学の歴史、地震のメカニズム、震源地の特定方法など、なかなか他では聞くことのできない話が満載で、毎月2回の見学ツアーには、遠方からお越しになる方も多いそうです。
展示室には、写真のような100年以上前から使われている大きな地震計から、コンパクトかつ高性能な最新のものまで、専門家から直接話を伺うことができます。
見学ツアーは事前申込制となっていますが、直前になると予約で埋まっていることも多いので、ご興味のある方はウェブサイトよりぜひお早めに申込みいただき、ご参加いただければと思います。(現在、来年3月の予定まで発表されており、今年は、11月13日(土)、11月21日(日)、12月11日(土)、12月19日(日)に開催されます。)
京都大学・阿武山観測所 一般見学会
参加費:無料〈事前参加申込制/先着順(各回定員15名)〉
時間:午前の部(10:00〜12:00)/午後の部(13:30〜15:30)
プログラム(約2時間):『地震学の歩み』講座、『歴代地震計』見学、『屋上展望』(雨天中止)、『阿武山アースダイバー』映写〜大阪平野の地下2000mの世界〜、『ミニプログラム』(内容は当日のお楽しみ)
参加申込、開催日時など詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.npo-abuyama.org/
ところで、阿武山観測所の見学ツアーの魅力は、地震学や地震計について学べるだけではありません。
2007年の大阪府近代化遺産総合調査報告書に「注目すべき近代文化遺産」として記載されるほど、なかなか見ごたえのある昭和レトロな建築(内装)が見られること、また、晴れていれば大阪平野を越えて、淡路島や関西国際空港を望めるということも人気の理由です。
築90年の建物だけに古さは感じられますが、重厚かつモダンな内装は趣きがあります。見学ツアーで観測所を訪れた際には、じっくりとご覧くださいね。
なお、少々余談ですが、阿武山観測所のすぐ近くには、中臣(藤原)鎌足が埋葬されたのではないか?と考えられている阿武山古墳があります。
この古墳は、前方後円墳などに見られるような盛土がないため古墳とわかりにくいものですが、地震観測所の建設の際、偶然にも石室が発見され、漆で麻布を何枚も貼り固めた夾紵棺(きょうちょかん)が安置されていることがわかりました。
現在、これらは元通りに埋めなおされているのですが、当時撮影されたX線写真などの分析から、約60歳の男性で生前に腰をケガした痕跡があることがわかっています。その他、棺内には銀線で青と緑のガラス玉をつづった玉枕(たままくら)を用いていたこと、きらびやかな錦をまとっていたこと、金糸の冠帽(かんぼう)があったことから、葬られた人物は安威山に埋葬したと伝わる大織冠(たいしょかん)・中臣(藤原)鎌足とする説が有力となっています。
こちらも阿武山観測所にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
京都大学 阿武山観測所
住所:大阪府高槻市奈佐原944
Web:https://www.npo-abuyama.org/
施設には駐車場(6台)がありますが、見学会開催時は駐車がいっぱいで停められない可能性がありますので、公共交通機関の利用をおすすめします。
〇高槻市営バス:最寄りのバス停「消防署前」
JR摂津富田駅北口にあるバスターミナル、JR富田駅 4番のりば「81/82/91/92 公団阿武山」行き「消防署前」下車(乗車時間:約18分)、徒歩約30分(約1,800m)
※高槻市営バスの時刻表(81・82・91・92系統 JR富田駅発)をご確認ください。
〇高槻市営バス:最寄りのバス停「奈佐原」
JR摂津富田駅北口にあるバスターミナル、JR富田駅 1番のりば「71 関西大学」「72 奈佐原」「73 萩谷」「75 萩谷総合公園」行きで「奈佐原」下車(乗車時間:約18分)、徒歩約30分(2,100m)
※高槻市営バスの時刻表(72系統 JR富田駅発、71・73・75系統 JR富田駅発)をご確認ください。