みなさんは昭和を代表する詩人・三好達治(1900-1964)をご存知でしょうか?
現在テレビで放送されているドラマ「ミステリと言う勿れ※」で、三好達治(みよしたつじ)の詩「大阿蘇(おおあそ)」「乳母車(うばぐるま)」が取り上げられ、その美しい自然描写と情感あふれる抒情的な詩が注目を集めたのですが、実は高槻には「三好達治記念館」があります。
※原作は田村由美による日本のミステリー漫画。
記念館があるのは、阪急上牧(かんまき)駅から徒歩10分ほどの場所にある本澄寺(ほんちょうじ)。この境内の一角に記念館、そしてお墓があります。記念館はふだん閉まっていますが、事前に予約のお電話すれば見学いただけます。(お寺の行事があるときなど開館できない日もございます。必ず事前にご予約ください。電話:072-669-1897)
三好達治は大阪の西横堀町で生まれ、東京帝国大学入学以降は主に東京で過ごしましたが、三好達治の弟・三好龍神が本澄寺の貫首(かんじゅ)だったことから、このお寺にお墓があり(下写真)、記念館が建てられました。
一室だけの小さな記念館ですが、館内には、三好達治の詩集や随筆などの著作本をはじめ、友人や知人などによる伝記などの関連書物、私生活で使用していた逸品が展示されており、1900年(明治33年)生まれという時代背景(戦争が隣り合わせにある時代)が感じられる年表も展示されています。1930年に刊行された第一詩集『測量船』の発表以後、三好達治は、日本の伝統詩と西欧近代詩が融合した新しい抒情詩人として名を馳せますが、記念館ではその彼の足跡が垣間見えることと思います。
ちなみに、記念館のある本澄寺(ほんちょうじ)は日蓮宗に属する寺院で、応仁の乱の最中、1471年(文明3年)に創建され、足利将軍家や京都の公卿(くぎょう)烏丸(からすま)家によって崇敬されたといわれています。(烏丸家は15世紀以降、この地域(上牧(かんまき)や鵜殿(うどの))一帯の荘園領主で、現在も本澄寺の境内には「烏丸領鵜殿新田」と刻まれた領界石(りょうかいいし)が見られます。)
ご来訪の折には三好達治記念館と合わせてお楽しみください。
最後に余談ですが、このあたりの地名である「上牧(かんまき)」という名前の由来についてご紹介します。全国には知らなければおそらく読めない珍しい(難読な)地名がたくさんありますが、高槻にもあります。そのひとつに挙げられるのが「上牧」です。
上牧は、10世紀頃(奈良時代)より官営の牧場(まきば)があったことに由来しています。かつて淀川沿いには、上・中・下の3つの牧場があったといわれていますが、ここが最も上流に位置していたため、上牧という地名として今に残っています。
現在は工場や高校、住宅街となっていますが、先日ヨシ原焼きの記事でご紹介した鵜殿(うどの)とともに高槻の見所もあります。ご興味をもってくださった方は、ぜひ一度足をお運びいただけると嬉しいです。
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本澄寺(ほんちょうじ)/三好達治記念館(みよしたつじきねんかん)
住所:高槻市上牧町2-6-31
TEL:072-669-1897
三好達治記念館入館料:無料(要予約:事前にお電話でご予約ください)
アクセス:阪急上牧駅から徒歩10分