高槻市観光協会(たかつきマルマルナビ)では、これまで市内各地をめぐる11の散策コース(街の中心にある城下町コース、平安時代の史跡をめぐる古曽部コース、NIKKEIプラス1「なんでもランキング」の全国古墳ランキングでも断トツの1位に選ばれた今城塚古墳などを巡る今城塚コースなど)をひとつひとつご紹介してきましたが、今回がラストの散策コース案内になります。
※全11の散策コースの紹介記事はこちらからご覧いただけます。
ラストを飾るのは、先頃仕込みを終えた日本酒の酒造のある富田エリアです。この地区は、16世紀中頃より寺内町として栄えた街で、江戸時代初期には大阪随一の酒どころとしてとして発展しました。現在残っている酒造は、清鶴酒造と寿酒造の2つとなりましたが、市内外の方に愛され、私たちも高槻のおみやげのひとつとしてオススメしています。
https://www.takatsuki-kankou.org/local-food/
富田コースは、JR摂津富田駅または阪急富田駅を出発し、お寺や神社、酒造のあるエリアをぐるりと歩いてまわるコース。古くからの町並みが残り、道が狭かったり、立ち並ぶ家に赴きを感じたりする場所があります。また、駅のまわりには地元では人気の飲食店や活気ある商店街もあり、お店をリサーチしてから訪ねると一段と楽しい散策になるかと思います。
では、富田コースの見どころをご紹介していきましょう。
※高槻には地元をこよなく愛する人々が運営する「高槻ボランティアガイド」という組織があり、ガイドの話を聞きながら散策することもできます。歴史小話を聞きながらの散策は、またひと味違ったものになりますので、ご興味のある方は高槻市観光協会までお問い合わせください。
富田コース (モデルコース)
所要時間:約2時間
歩行距離:約8km
Web:https://www.takatsuki-kankou.org/model-course/tonda.html
清鶴酒造(きよつるしゅぞう)
創醸安政3年(1856年)の老舗蔵元で、かつて酒造りの一大拠点として栄えた富田の伝統を守っています。もろみを袋につめてじっくりろ過する昔ながらの手法をとり、いたずらに量産を図ることなく手作りで製造し続けています。その味には地元高槻市民だけでなく、全国の好酒家からも高い評価を得ており、高槻市内の酒屋等で販売されています。
通常、酒蔵の見学はできませんが、高槻市内の酒屋等で販売されています。https://www.takatsuki-kankou.org/local-food/ 詳しくは、清鶴酒造HP(http://www.kiyotsuru.jp/)をご覧ください。
三輪神社(みわじんじゃ)
大己貴命(オオナムチノミコト)を祀る三輪神社は、大和国三輪山に鎮座する大神神社から勧請(かんじょう)したともいわれ、もとは普門寺の鎮守社(ちんじゅしゃ)とも、富田村の産土神(うぶすながみ)ともいわれていました。神社に残る奉加帳序(ほうがちょう)や棟札(むねふだ)によると、寛永16年(1639年)に普門寺の龍渓禅師(りゅうけいぜんじ)により再興され、寛延2年(1749年)には社殿が修復されたと記されています。現在は酒の神を祭る社として地域に深く根付いています。
普門寺 (ふもんじ)
釈迦如来と十一面千手観音を本尊とする寺院で、慈雲山と号して臨済宗妙心寺派に属しています。創建は永禄年間(16世紀後半)には室町幕府の管領・細川晴元や14代将軍足利義栄が滞在し普門寺城とも呼ばれました。また江戸時代初期には、中国・明の高僧、隠元が宇治に万福寺を開くまでのあいだ留まった場所としても知られています。
普門寺は、予約しておかないと拝観できないのですが(拝観時間 13:30〜16:00(予約制)/拝観料 400円/TEL:072-694-2093)、知る人ぞ知る美しい寺院として名を馳せています。国の重要文化財に指定される、柿葺き(こけらぶき)の屋根が美しい方丈(本堂)は永禄期(1560年~)の建築で、襖絵は狩野安信の水墨画、欠損していた襖には南画の大家・直原玉青画伯の「淀川右岸天王山鵜殿前島菖景」が描かれています。また、下の写真の江戸時代初期の枯山水庭(かれさんすいてい)も国の名勝に指定されています。
慶瑞寺(けいずいじ)
祥雲山(しょううんざん)と号して黄檗宗に属し、観世音菩薩を本尊としています。持統天皇8年(694年)宇治橋架橋などで知られる僧・道昭が創建し、法相宗に属して景端寺と呼ばれていました。江戸時代初期には景端庵と呼ばれ荒廃していましたが、寛文元年(1661年)頃、普門寺の龍渓(りゅうけい)が再び寺院として再興したといわれています。境内には後水尾法皇(ごみずのおほうおう)の歯や仏舎利(ぶっしゃり)を納めた聖歯塔(せいしとう)、龍渓の木像や遺品などを納めた開山堂があり、歴史的に貴重な遺物が多く残されています。
壽酒造(ことぶきしゅぞう)
地元のみならず「國乃長(くにのちょう)」という名で広く親しまれる蔵元です。長い歴史に裏付けされた清酒造りだけでなく、平成7年からは全国で9番目となる地ビール造りを開始しました。その後も清酒造りのノウハウを活かし、近年では減圧蒸留器を導入し、酒粕を使った粕取り焼酎の製造にも着手しています。長い歴史をもつ地酒蔵でありながら、伝統にとらわれず時代の流れに合わせてさまざまなシーンで楽しめる酒を生み出しています。
通常、酒蔵の見学はできませんが、高槻市内の酒屋等で販売されています。https://www.takatsuki-kankou.org/local-food/ 壽酒造HP:https://kuninocho.jp/