みなさんは、ワンド(湾処)という言葉をご存じでしょうか?
ワンドというのは、河川改修の結果できたもので、川の本流とつながっていながらも、土砂などの堆積物や堤防などに囲まれ、池のようになっているところ、増水すれば本流に連なってしまう(川の水で隠れてしまう)ような地形のこと。淀川にはいくつものワンドがあるのですが、高槻の大塚地区に面する淀川には、2022年頃に改修を終えたワンドがあります。
国土交通省 国土技術政策総合研究所HP 河川用語集 より転載。ワンド(湾処)は、河川改修工事によって形成されるため、水の力によって自然にできる「たまり」と区別されています。
私たちの知る淀川は、大きな河川で、長岡京や平安京の時代には都と瀬戸内海を結ぶ交通路として利用され、江戸時代、大阪が「天下の台所」となったのも淀川の水運のおかげだと聞いても納得がいくことと思いますが、実は、明治初めの淀川は上流から流れてくる真砂が堆積し、水深はなんと約40cmしかなかったところもあったのだそう。
これでは大きな船が運行できないと、オランダ人土木技師(ヨハネス・デ・レーケ)らを招き、水際に土や砂がたまるよう、大規模な河川改修工事が進められました。その結果、ワンドが形成され、いまの淀川の姿になったといいます。
※国土交通省HP(近畿の一級河川 淀川)には、改修工事の経緯をはじめ、淀川の歴史を簡単に紹介されています。興味深い内容もあるかと思いますので、ぜひご覧ください。
大塚ワンドの衛星写真(Google Map)
衛星写真で見るとわかるように、大塚ワンドの川岸は草木が生い茂っていて、訪れやすいスポットとは言い難いところもあるのですが、実際に訪ねると、川に流れに垂直に伸びる水制(土嚢)の上を歩いて渡ることもでき、なかなか興味深いスポットです。
※増水している場合などは非常に危険ですので、絶対に入らないで下さい。
体験交流型観光プログラム「オープンたかつき」にて、今年5月に開催した大塚ワンドツアー時の写真。川の水量が少ないときには、水制(土嚢)を渡って中州を歩くことができます。
大塚ワンドのある河川敷には、テニスコートや野球場、ラグビー場があり、週末になるとスポーツ愛好者でにぎわい、ワンドには釣り好きの方々が集まります。ですが、淀川のワンドの中では新しい大塚ワンドはまだまだ人は少なく、ちょっとした探検家気分も味わいながら、のんびりと過ごせます。
河川敷にはパーキングもあり、車でもお越しいただけますので、ご興味を持ってくださった方は、ぜひ一度訪ねていただけたらと思います。
また、次週には、大塚ワンドを訪ねるなら、淀川の歴史が随所に残る大塚地区の見どころも合わせて観ていただきたいと周辺のスポットをご紹介します。歩いて巡る「大塚・ワンド(湾処)コース」も興味深いものがありますので、ぜひお読みいただけると嬉しいです。
大塚ワンド(湾処)
所在地:高槻市大塚